読書をする距離で、片方の目だけで中心の点を見て下さい。
   眼鏡をご使用の方は、眼鏡をかけて下さい。
  ●加齢性黄斑変性症について
   (光線力学的療法:PDT治療)
医療法人社団みどり会にしき記念病院




眼科センター
レーザー治療について
加齢性黄斑変性症とは?
 加齢性黄斑変性症とは、物を見る中心である黄斑に年齢的な変化・変性が生じて
   起こる病気です。

 アメリカでは視力障害の原因の第1位ですが、日本でも、急激な高齢者人口の増加、
   生活習慣の欧米化に伴って患者数が増加しています。

 この病気は、病名の示す通り60歳以上の高齢者に多く、男性は女性の3倍にみられ
   ます。

 約20%は両眼に発症し、家系内に起こることもよくあります。
  
加齢性黄斑変性症の症状は?
簡単にできる自己チェック
 物を見る中心である黄斑部が障害されるため、一番みたい所が見難い、物が歪んで
   見える、真ん中が暗く見える等の症状がでます。

 程度の軽いうちは、いい方の目が補って、気付かないことも多くあるようです。
   日頃から、時々片目をふさいで物を見て、見え方に異常がないか確認しましょう。
 水平線、垂直線が「波打って見える」「ゆがんで見える」「見えない所がある」
  「かすんで見える」などの見え方があれば、直ちに専門医の診察を受けて下さい。
なぜ加齢性黄斑変性症がおこるの?
治療はどのようにして行われますか?
 加齢性黄斑変性症は、老化により網膜の細胞が萎縮・変性したために起こります。
   大きく分けて、“萎縮型”と“滲出型”の2つのタイプがあります。

 “萎縮型”は、黄斑の組織が加齢により萎縮するタイプで、加齢性黄斑変性症の
   9割をしめます。 このタイプは進行が遅く、視力低下や視野障害もゆっくり進む
   のが特徴です。

 これに対して“滲出型”は、急激に進行し、手遅れになると失明にまで至る恐ろしい
  病気です。“滲出型”は、老化による網膜細胞の酸素と栄養の不足から、異常な新しい
  血管(新生血管)が生じることが特徴です。
  この新生血管は、正常の血管と違い血管壁がもろく、すぐに崩れて出血します。
  この出血が網膜の中に漏れると、網膜細胞の機能を壊したり、網膜浮腫という網膜が
  腫れた状態になり、視力が低下します。
 治療の目的は、見え方を向上させ病状を安定化させることですが、病状や程度も
   様々であるため、その病気の状態によって選択される治療法も変わります。

 止血剤や出血吸収薬の内服薬等にて定期的に経過をみるだけのこともありますし、
  “レーザー光凝固術”により新生血管を焼き固める治療が行われることもあります。

 また、硝子体手術により新生血管を抜去する方法(新生血管抜去術)や黄斑部を
  移動させる方法(黄斑移動術)が選択されることもあります。

 しかし、これらの治療法にも一長一短があり、どれも決め手に欠けるというのが
  現状です。そこで最近考え出された新しい治療法が“光線力学的療法”です。
 光線力学的療法は、光感受性物質を注射したあとに、黄斑部の病巣に特殊な
   レーザー光を数十秒間照射します。 すると、黄斑部の新生血管に集まっていた
   光感受性物質が化学反応を起こし、活性酸素を発生させます。
   この活性酸素により新生血管の細胞が破壊され血管が閉塞するのです。
   光線力学的療法は、従来のレーザー光凝固治療のように網膜まで傷つけてしまう
   危険性がなく、有力な治療法になると考えられています。

 手術そのものは20分ほどで終了しますが、光感受性物質の注射後48時間ほどは
   光に対して目が敏感に反応してしまうので、約2〜3日の入院が必要になります。

 1回の治療で病状が安定する場合もありますが、新生血管の再発などにより、
   再度治療が必要なこともあります。

 
光線力学的療法とは?
 当科では、この光線力学的療法の導入を予定しています。
 喫煙は、加齢性黄斑変性症の危険因子です。
   規則正しい生活を心がけ、喫煙は控えましょう。

 また、抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、βーカロテン)と亜鉛を一緒にとる
   ことが、加齢性黄斑変性症の進行阻止に有効であることが科学的に実証され
   ています。

 以下にそれぞれの栄養素が多く含まれる食物をご紹介します。

 
  ビタミンC 葉もの野菜、ブロッコリー、パセリ、イチゴ、柑橘類など
 
  ビタミンE 植物油、マヨネーズ、うなぎ、たらこ、ナッツ類など
 
  βーカロテン 緑黄色野菜(人参、ピーマン、春菊、ほうれん草)、パパイヤ、
            西洋カボチャなど

 
  亜鉛 牡蠣、貝類、根菜類など

 加齢に伴って、食品の摂取量が少なくなるとともに、腸からの吸収力も低下してき
   ます。バランスのとれた食事で目の健康を保ちましょう。

 サプリメントを上手に活用するのもよい方法ですが、大量摂取では副作用の報告も
   ありますので、サプリメントの併用には注意が必要です。
   サプリメントについても何なりとご相談下さい。
 
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